山崎行太郎公式ブログ『 毒蛇山荘日記』

哲学者=文芸評論家=山崎行太郎(yamazakikoutarou)の公式ブログです。山崎行太郎 ●哲学者、文藝評論家。●慶應義塾大学哲学科卒、同大学院修了。●東工大、埼玉大学教員を経て現職。●「三田文学」に発表した『小林秀雄とベルグソン』でデビューし、先輩批評家の江藤淳や柄谷行人に認めらlれ、文壇や論壇へ進出。●著書『 小林秀雄とベルグソン』『 小説三島由紀夫事件』『 保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』・・・●(緊急連絡) 070-9033-1268。 yama31517@yahoo.co.jp

■江藤淳の『 前後と私』を読む。 江藤淳は、帰国後、アメリカ嫌いになり、《反米愛国主義 》的な言動をするようになったと思われているが、そうではない。江藤淳が、帰国後、まず始めたのは、自分を問い直すという作業だった。『アメリカと私』を筆頭に、『 日本文学と私』、あるいは『 文学と私』『 戦後と私』『 場所と私』などで、執拗に《私 》にこだわり、《 私とは何か 》を問いはじめる。実は、私が、江藤淳や大江健三郎を、同時代の文学者として、雑誌や新聞などに発表される文章を、自覚的に読みはじめるのは、この頃から

江藤淳の『 前後と私』を読む。

江藤淳は、帰国後、アメリカ嫌いになり、《反米愛国主義 》的な言動をするようになったと思われているが、そうではない。江藤淳が、帰国後、まず始めたのは、自分を問い直すという作業だった。『アメリカと私』を筆頭に、『 日本文学と私』、あるいは『 文学と私』『 戦後と私』『 場所と私』などで、執拗に《私 》にこだわり、《 私とは何か 》を問いはじめる。実は、私が、江藤淳大江健三郎を、同時代の文学者として、雑誌や新聞などに発表される文章を、自覚的に読みはじめるのは、この頃からである。それまでは、過去の文学史上の作家や評論家として読んでいた。たとえば、大江健三郎の初期小説や江藤淳の『夏目漱石』論や『小林秀雄』論などを、すでに過去に書かれた文学史上の作品として読んでいた。そもそも、ヒロシマにこだわることは、《 日本の敗戦》という現実から目をそらすことだ。《日本の戦争責任》から眼をそらすことだ。