⬛️今年は『山川方夫伝』を出版の予定です⑴。
本文のチェックなどはほぼ終わり、今、『あとがき』を書いています。現在、『月刊日本』に連載中の江藤淳論(『江藤淳とその時代』)の姉妹編になる予定です。出版社は、『維新と興亜』の版元である望楠書房です。『望楠書房』は、こういうと怒られるかもしれないが、今、営業開始して三年目そこそこの中小零細出版社(?)です。しかし、私は、この出版社に、その若い編集者たちの心意気と思想性の高さに共感して、私がかなり前に、月刊文芸誌『すばる』(集英社)に掲載し、そのままになっている、私にとっても、かなり重要な『山川方夫伝』を託すことにしました。きっと、立派な本になると思います。《立派な本》とは豪華な、いかにも売れそうな派手な本・・・という意味ではありません。《 心のこもった本 》という意味です。そこで、 参考のために、以下に、『山川方夫伝』の本文の文章の一部を、アトランダムに引用しておきます。どうぞ御期待ください。
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作品よりも作家の方がはるかに大きい場合がある。むろんそれは作品が劣っているという意味ではない。作品に納まりきれない作家がいるというだけのことである。たとえば、明治期の巨大な知識人であった鷗外や漱石の場合、その作品ももちろん重要だが、それよりもはるかにその人間が重要である。多くの鷗外論や漱石論が、作品論というより、作家論であり、人物論であるのは、そのためである。山川方夫の場合も、作品だけでその文学のすべてを語ることはできない。
山川方夫は、一般的には「三田文学」編集長として知られている。昭和三十年前後に「三田文学」の黄金時代を築いた若き編集長としての山川方夫の名前を知らない人はいないだろう。これは山川方夫の文学を語る上で決して忘れてはならない重要な要素である。・・・(以下略)
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