山崎行太郎公式ブログ『 毒蛇山荘日記』

哲学者=文芸評論家=山崎行太郎(yamazakikoutarou)の公式ブログです。山崎行太郎 ●哲学者、文藝評論家。●慶應義塾大学哲学科卒、同大学院修了。●東工大、埼玉大学教員を経て現職。●「三田文学」に発表した『小林秀雄とベルグソン』でデビューし、先輩批評家の江藤淳や柄谷行人に認めらlれ、文壇や論壇へ進出。●著書『 小林秀雄とベルグソン』『 小説三島由紀夫事件』『 保守論壇亡国論』『ネット右翼亡国論 』・・・●(緊急連絡) 070-9033-1268。 yama31517@yahoo.co.jp

■「新自由主義」の哲学的原点ーケインズ経済学と反ケインズ経済学の「大論争」について。フリードマンとルーカス。(2)

不況や恐慌を前にすると、自由放任主義的な経済学は無力になる。「国家の介入」による景気回復の経済政策と経済学が要求される。逆に好景気や成長が続くと、「国家の介入」による規制や政策が批判され、自由主義的な経済学が盛り返す。これに国際政治的な要因(たとえばマルクス主義共産主義の台頭)が加わると、この傾向は、さらに複雑になる。つまり、共産主義革命の脅威がある限り、資本主義=自由主義=民主主義陣営では、共産主義陣営と対抗するために、貧困対策や福祉政策や失業対策・・・などが必要だったが、ソ連崩壊や冷戦終結とともに、過剰な自由主義が主張されることになる。それが、いわゆる「新自由主義」である。それを数学を駆使して、理論的に定式化し、社会思想運動として主導したのがミルトン・フリードマンやロバート・ルーカスら、いわゆる「シカゴ学派」の面々である。彼等の当面の敵はケインズケインズ経済学であった。ケインズ経済学は、マルクス主義経済学とは内容は異なるが、社会民主主義的な貧困対策、福祉対策があった。いわゆる「国家の介入」による景気回復政策である。シカゴ学派は、国家の介入による規制や政策を、あるいは過保護的な貧困対策や福祉政策を激しく攻撃し、「市場の自由」を主張した。現在、日本に蔓延っているのも、小泉純一郎竹中平蔵橋下徹等に象徴される「構造改革一派」も、この「新自由主義」の流れに追随するものである。「福祉政策批判(カット)」「弱者切り捨て」・・・は、竹中平蔵橋下徹の考えた自前の思想ではない。シカゴ学派(「新自由主義」)の受け売り、モノマネにすぎない。竹中平蔵が、「私は《新自由主義者》ではない」「私は《弱者切り捨て論者》ではない」とシラが切れるのは、自分の頭で考えた思想ではないからだ。エピゴーネン(竹中平蔵橋下徹、吉村洋文、ネットウヨ・・・)ほど危険なものはない。